宗谷本線 DE15ラッセル車 撮影法
機関車
≪宗谷本線 豊清水-恩根内≫ 宗谷本線をラッセルするDE15 2511号機
近年、撮影者が増えてきた宗谷本線や石北本線のDE15によるラッセル車。
その特殊性ゆえ、撮影には旅客列車とはまた違ったテクニックや心構えが必要。
古くは、天北線や深名線、留萌本線などでも実践してきた私の撮影法を紹介します。
【ラッセル車撮影の心構え】
排雪列車はイベント列車ではありません。あくまで鉄路を守る業務用の列車です。
作業の支障にならないよう充分に列車から離れて撮影することが鉄則です。
また、排雪列車は軽い雪だけでなく、列車が落とした氷塊や時には雪に混じっている
バラストも跳ね飛ばしながら進みます。これらに当たると命にかかわります。
雪が跳ね飛ばされる距離には絶対に近づかないこと。
線路近くに人を発見すると、安全のためウィングを閉じて作業を止めて通過します。
近づいて撮ろうとすると、結局は排雪シーンは撮れないことになります。
排雪列車に限りませんが、常に「撮影させてもらっている」という意識が大切です。
【ラッセル車撮影の装備】
まずは完璧な防寒対策をします。
宗谷本線沿線の内陸部は、時に-30℃にもなる厳寒地帯です。
上着はアウトドアメーカーのゴアテックスなどの
防寒ジャケットがベストです。
雪の降らない地域にお住まいの方の中には
「寒い所=ダウンジャケット」と思っている方も
いらっしゃるようです。
ダウンは厚みがあって動きづらいばかりでなく、
雪で濡れたり汗を吸って重くなります。
また、手入れも大変でクリーニング代も高価です。
ダウン着は街中では良いですが撮影には向いていません。
その点、防寒ジャケットなら洗濯機でも洗濯できるので便利ですね。
そして、北海道の人は寒さに対しては上着ではなく、
その中に着る衣類で調節します。
その日の温度にあわせて、中にフリースのジャケットを
着るなどして調整します。
⇒ 私のおすすめのジャケットは
・「THE NORTH FACE Mountain Jacket」
・「THE NORTH FACE Dot Shot Jacket」
・「Columbia エクストリームポイントジャケット」
・「Columbia マタンジャケット」
⇒ 私のおすすめ手袋は
・「ホットエースプロ 防水防寒手袋 」(表面は濡れても中まで浸透しない!)
次に靴です。
長靴は防水性はありますが、防寒に欠けること、歩きづらいこと、
上部から雪が入ることからあまりお勧めできません。
トレッキングシューズなら防水性も防寒性もあり、
また通気性もあるので内部が蒸れないので重宝します。
凍った路面でも滑りづらいのが特徴でお勧めです。
これにスパッツを組み合わせると雪原の中を歩いても
上部からの雪の侵入も防ぐことができます。
冬の撮影には、ほぼ完璧な組み合わせといえるでしょう。
トレッキングシューズであれば、街中でも飛行機の中でも
違和感はないので、遠くから撮影に来るのであれば
自宅から撮影地までこれ一足で済むので便利です。
⇒ 私のおすすめシューズは
・「mont-bell GORE-TEX Tioga Boots Men's」
・「Caravan C1 02」
+「イスカ ゴアテックス ライトスパッツ」
【ラッセル車の撮影機材】
宗谷本線沿線は最高気温が-10℃くらいまでしか上がらない日が多々あります。
これらの気温に耐えられる機材が必要です。
最近のデジタルカメラはバッテリーも含めて高性能なので、外に出しっぱなしでなければ
バッテリー上がりの心配はあまりありません。
とはいえ、低温下ではバッテリーの消耗が早いので、予備のバッテリーは必須です。
また、外気にさらし続けると液晶表示が異常となることがあります。
必要以上に外気にさらさない配慮が必要です。
冷えた機材を車内に持ち込むと結露するので、レンズキャップをはめ、
厚手のタオルで完全に包んで車内に持ち込みます。
ビニール袋を使う方もいますが、ビニール袋はその中に湿気がこもって、
かえってカメラ内部に湿気が入ってしまうのでお勧めできません。
また、ビニール袋は保温性がないため機材に急激な温度変化を
与えてしまい機材を痛めることにもつながります。
厚手のタオルで包めば、急激な温度変化を避けることができ、
かつ、結露したとしてもタオルがその水分を吸い取ってくれます。
さらに、外との気温差を少なくするため、車の室温はなるべく低くしておきます。
エアコンで除湿をして車内を乾燥させておくことも機材を守るために必要なことです。
【ラッセル車の撮影時期】
宗谷本線の排雪列車は、例年12月中旬から3月上旬まで運転されます。
迫力ある排雪シーンが撮れるかどうかは、沿線の積雪量ではなく
その日の降雪量によって決まります。
要は前回ラッセルしてから、どのくらいの雪が線路に積もったかです。
迫力ある排雪シーンを狙うなら12月下旬がベストです。
1日の降雪量が多いのがこの時期で、しかも連日のように
降雪があり沿線の積雪が一気に増します。
1月上旬も降雪量は多いですが、天候が急変する日も多く、
撮影どころではなくなることもあります。
1月も中旬を過ぎると沿線の雪壁が高くなり、
車両がその雪壁に隠れてしまうようになります。
そうなると、きれいに撮影できるポイント探しにも苦労します。
2月に入り中旬を過ぎると天候も安定してきます。
利尻富士がきれに見えるようになるのもこの時期です。
車の運転も撮影もしやすくなりますが、肝心の雪が降らず、
ほとんどラッセルしなくなります。
※ 降雪や積雪の状態はその年によって変化します
【ラッセル車の撮影ポイント】
一般的には、沿線に何箇所かある陸橋上が作業の支障にならず、
線路に比較的近い位置で撮影できるポジションになります。
ただし、陸橋上に歩道が無い箇所が多く、また付近には
駐車スペースがない場所が多いのです。
安全な場所に車を置いて、多少歩く覚悟が必要です。
また、雪煙で車が見えなくなるので路上駐車は厳禁です。
鉄道雑誌などで正面がちの構図を見かけますが、
一般的な撮影方法ではありません。
それらの写真は、線路から離れた安全な場所から超望遠レンズ、
それも400mm~600mmという値段も「超」望遠レンズで撮影しています。
一般的には、このページの写真のように線路から充分に離れた位置から
横から望遠レンズで狙うのが安全な撮影方法です。
また、踏切には踏み板があり排雪作業ができないため、
踏切では排雪シーンを撮影することはできません。
【ラッセル車の撮影方法】
機材のセッティングですが、一面銀世界の中で撮影するため、
露出はオートではなくマニュアルで設定します。
また、雪が降っている時はオートフォーカスが雪に惑わされます。
AFの敏感度を設定できるカメラでは雪に反応しないように敏感度を
調整し、敏感度の設定がないカメラではマニュアルで対応します。
雪が少ない時には、あまり機関車をアップにせず引き気味にするとか、
流し撮りにして排雪量を多く見せるなど、構図の工夫も必要です。
以上が、私が北海道各地で実践してきたラッセル車の撮影方法です。
通常の列車と違って、現地の状況もそして列車そのものも
撮影が難しいのがラッセル車の撮影です。
撮影される方は、安全第一で撮影を楽しみましょう!
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